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『ベルサイユのばら』実写版こと『Lady OSCAR』

2007/06/28

ベルサイユのばら

t f B! P L

Photo by ぱくたそ + ELLY COLLECTION


ベルばら方面の変なスイッチが入っている間に毒を食らわば皿まで。黒歴史とも言われる、フランス人の監督がフランスで撮った日本映画『Lady OSCAR』と再会しました。

観ました、124分。



ええと。実は「オスカルの子供時代の遺物」にアンドレも含まれていて、乗り越えるべきものor手放すべきものとされる、という解釈でよろしい? (汗) (あまり良くない意味で)子供のままで居たかった彼女が、周囲からいろんな事を知らされて父の懐からも卒業し、全部そぎ落として大人になると。オスカルの設定年齢も無視して、なんだかそんな感じに話を持っていかれてる気がしました。映画アンドレは、“オスカルと対になる者”というより“導く者”でしたしね。
原作オスカルのあの性格は悪い意味での少年(あるいは少女)じみたものであると、現場スタッフには解釈されたのだろーか。オスカルはタダの飾り人形として扱い、あくまでアントワネットの無能さを描きたかったのか。

なんか酷くありませんか。

子供の頃に観た時は、なんであっさりはぐれて片方だけあっさり死ぬねん、と単純に思ってましたけど。あと、バスティーユしょぼい。原作と別物として観ればなんとかなると思ってたかも。
今観ても微妙なものは微妙ですが、微妙なポイントがちょっと変わってます。キャラクターの在り方が原作と違い過ぎる、その差の大きさは今の方が良く判りました。単に男装しているだけの女性でしかもほぼラストまでモラトリアム風味貴族子女なオスカル、という演出には本当にガックリ来ます。昔からオスカル&アンドレ派なせいもあって、アントワネットがこれだけ脳みそ空っぽな描写されてるなんてすっかり忘れてましたしね。女優さんはすごくいいのに、もったいない。

すっかり忘れてたと言えば、映画ロザリーの存在。原作版ロザリーは好きですが、この映画版ロザリーはジャンヌを小物化したような性格になっている事もあって、民衆への感情移入がしずらくなってるんですな。だめじゃん(^^;A ポリニャック夫人の方がある意味マシです(汗)

逆に、ジョゼフ王太子がキャラ的に清涼剤になりました、というかピンポイントで重要人物。アンドレとも離れてしまっていた映画オスカル。ジョゼフが居なければ、彼女は貴族側に居たままだったんじゃないかな……話成り立ちませんがな。

ルイ16世、アントワネット、ジャルジェ将軍、ベルナールやロベスピエール、ニコラスの配役はいいと思いました、キャラ描写はさて置き。ポリニャック夫人はすっかり悪女系でしたが、それはそれで説明に時間をかけずに済むので良いのではないかと。オスカルとアンドレ、ジェローデルは、この映画での性格にはよく合ってると思います。魂を分け合う者というより妹をかまいまくるお兄ちゃん風味のアンドレ、これはこれで結構好きです。フェルゼンはこんなもんかな……まぁイケメンお坊ちゃまには違いないのかな(^^;A
よく見れば個性的な面々なのですが、いかんせんカツラ愛用の方々は頭がみんな同じ色で似たような形なので見分けがつきにくいのが難点で……orz アンドレの濃い髪と長身はオトクです。

馬とロケ地、衣装や小道具などは良し。“バスチーユ”と某肖像画はしょぼすぎるので除きます。配役もおおむね良し。ですが、映画という時間的制約にあわせてキャラ自体を整理して数を削る代わりに、各キャラの多面性を削り殺してしまったあげく、全体が平坦なモノになってトホホな感じ。原作関係無しにしても、アントワネットの周囲をうだうだと描写するのに時間を取ってラストのバスティーユ攻撃が3分無いのはどうなんでしょう。あんな烏合の衆(としか見えない演出)に3分で落とされるなんて有り得ないですよ。はしょり過ぎて原作知らないと流れがさっぱりわからなくなってる部分もあると思います。いくら風景が良くても、脚本が駄目過ぎです。


別ページに、この記事内容も含む細かい観賞メモをまとめています。→『ベルサイユのばら』の棚/実写映画『Lady OSCAR』観賞メモ




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